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  第88号 平成27年(2015年)71日発行



巻頭


この心  さきには  その望みにまかせ
欲にしたがい  たのしみにそいて  さすらい往(ゆ)けり
されど今日(きょう)こそ  われよくこれを制(ととの)えん
まこと象つかいの  鉤(かぎ)をとりて  酔象を御(ご)するがごとく
                          (法句経 326)


◇新:法句経講義46◇
<※「新・法句経講義」は、巻頭ページ掲載の法句経について解説しています。>

 金具のついた棒で、暴れる象を象使いが制している、そんな場面が目に浮かぶ
偈です。当時のインドの社会において、象は、乗り物であり重機であり戦車でも
ある重要な存在でした。それゆえに、大変尊重されて、お釈迦様のご生誕をお祝
いする[花まつり]では、白い象に花御堂を乗せてパレードするわけです。
 その象が暴れている。暴れている象を制することは、象使いにとってなくては
ならい技術だったはずです。象使いのように、自分というものを制御することが
出来れば、どんなにいいだろう。
 ここに、[今日こそ]という言葉が入っています。これまでは、思いのままに
暮らしてきたけれど、今日これからは、自分をコントロールしていくぞ、という
決意がこめられています。「決意」というのは、一瞬で決まるものです。時間を
かけてじっくり決めたように見える「決意」も、決めた瞬間というのは一瞬です。
その「決意」を「今日こそ」実行する。過去の自分にとらわれず、過去の自分と
決別する。その覚悟が出来れば、新たな自由が得られる。
 自分を改める決意こそ、菩薩道(ぼさつどう)の人口なのです。

仏教豆知識 66

 解脱

 解脱(げだつ)、というのは解き放つということ、様々な束縛から開放されることを言い
ます。この解脱という考え方は、仏教だけでなく、インドの多くの思想・宗教にも見られ
るものです。インドの伝統的な考え方では、輪廻(りんね・繰返し生まれかわること)から
の開放を言いましたが、仏教では、煩悩(ぼんのう・欲望のとらわれ)を捨てること、それを
解説として、修行の目標にしました。煩悩を捨て解脱すると、「阿羅漢(あらかん)」と呼ば
れ、解脱した心にはもはや迷いがなく、煩悩も再び生じることがないので、悟りに達した
理想の姿とされました。



 主管所感 >

70年目の祈り       友松浩志


 今年は戦後70年になります。夏には各地で、追悼法要が行なわれることと思います。
 当寺が属する浄土宗の総本山・京都の知恩院から、「戦没者」の名前と戒名をまとめて
報告してほしい旨の手紙が来ました。戦没者というのは、戦死者と戦災者ということで、
寺の過去帳を広げて、昭和20年8月以前の戦没者らしい戒名を拾ってみて驚きました。
戦死者は約20名、戦災者は約70名におよぶのです。当寺の過去帳そのものが、戦災で半分
焼失してしまい、戦後何とか復元したものですから、実際はこの数をかなり上回る戦死者
戦災者があったはずです。
 数年前に亡くなった檀家のある男性は、優秀な成績で兵学校を出て、大陸で活躍して、
戦争が終わって帰ってきたら、家族誰一人、生き残っていなかったと言います。父も母も
妻も子も、みな戦災死していたのです。家族6人の位牌を作り、戦後を生きられました。
東京の下町に大空襲があったのは、昭和20年3月10日。終戦まであとわずか5ヶ月です。
その日に並ぶおびただしい数の戒名は、全て空襲の被災者です。よく見ると、高齢の女性
が多いことが分かります。あとは、若い家族。そこには、何人もの子どもの戒名も並んで
います。つまり、とっさに逃げられなかった人たちです。高齢者と子どもたち、そして、
おそらく子どもを守ろうとして逃げおくれた若い両親たち。
 多くの戦没者に、きちんと戒名がつけられています。それは、その人たちを弔った人が
いた、ということです。戦死した子を弔った父母、夫を弔った妻。そして、被災した家族
を弔った人たち。過去帳に並んだ戒名には、それぞれの思いが込められています。戦後70
年、弔った人たちの高齢化も進んでいます。
 知恩院に全国から送られた戒名は、数万にのぼるそうです。本堂で順次読み上げていく
そうですが、多くの家族の思い、残された者の祈りがこだまするこの夏。神田寺でもそれ
ぞれの戒名を、きちんと読み上げでいこうと思います。


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