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  第87号 平成27年(2015年)31日発行



巻頭


諸根(こころ)の寂静(しずか)なること
まことよく御者に馴(な)らされし  馬のごとく
慢(たかぷり)をすて  諸漏(まよい)をつくせる
かかるひとを  神々もうらやむなり
                      (法句経 94)


◇新:法句経講義45◇
<※「新・法句経講義」は、巻頭ページ掲載の法句経について解説しています。>

 最近、電車に乗って椅子にすわると、大概の人はスマホ(スマートフォン)をいじり
始めます。本を読む人が、メッキリ減ったように思います。居眠りをする人まで
減ったような気がします。それほど、人を引きつける力をスマホは持っているの
でしょう。
 ともかく、人はおしゃべりが大好きです。メールにしろ、ツイッターにしろ、
人は、おしゃべりをすることで安心する性質を持っています。自分がひとりでは
ない、という安心感が、人の心を安定させることは確かです。いつでも、誰かと
結びついているという安心感が、スマホ熱中人間を増やしているようです。
 その一方で、静けさや落ち着きが、社会全体から失われ始めているような気が
します。常に人の意見を気にしたり、人との繋がりばかり優先するのでは、自分
というものが失われていきます。
 仏教では、「寂静」(じゃくじょう)の境地を理想とします。静けさの中に身を置き、
何にもとらわれないことが、真実の生き方への第一歩と考えるのです。心を落ち
着けて考えてみれば、今日の評判も友だちの意見も、ほんの一時のことなのです。
静けさの中に真実をみる − そんな人になりたいものです。

仏教豆知識 65

 利益

 利益は、仏教では[りやく]と読んで、仏様から得る恵み、幸せのことを言います。厳密
に言うと、自分のために行った善行の結果の恵みは[功徳(くどく)]と言い、他人のため
につんだ善行の結果が「利益」と言われます。また、この世で得られる利益を[現世利益
 (げんぜりやく)]と言い、来世で得られる利益を「後世利益(ごせりやく)、当益(とうやく)」と
言います。現世の自分の幸せばかり願っていると「ご利益信仰」と言われます。仏教本来の
信仰のあり方は、誰に恵みが訪れるか分からなくても、善行を積むことです。



 主管所感 >

恕のこころ       友松浩志


 神田寺の1階にある応接室の壁に、ゆったりとした書体で「八風吹不動」と書かれた額が
飾ってあります。八風吹不動(はっぶうふけどもうごかず)とは、どんな風が吹いてもけして
動かないこと、京都・清水寺の管主を70年も勤められた大西良慶師が書かれたものです。
良慶師は、昭和58年に109歳で遷化されましたが、その明朗闘達なお人柄、非凡な学才、
分かりやすい名説法は、今でも語り継がれ慕われる名僧です。
 良慶師と、神田寺の先々代住職・友松圓諦師との間には、長い交友関係がありました。
それは戦時中、圓諦師が幕末から明治期の仏教史研究をライフワークにしていたことに始
まります。圓諦師は、幕末に清水寺の住職を勤め、西郷隆盛と深く関わった尊皇派の僧侶
 「月照」の研究を集中して行なっていました。その資料を探しに清水寺を訪れ、良慶師と
対面した圓諦師は、思わぬ厚遇を受けます。月照の自筆の遺稿2冊を、借りることが出来
たのです。それを東京に持ちかえり、書き写しながら研究を進めていた折り、東京はあの
大空襲を受けることになります。 3月10日の夜、大切な月照の遺稿は、防空壕の中で焼失
してしまいます。
 被災後、おそるおそる清水寺を訪れ、事情を説明すると、良慶師は「君の生命があった
からいいじゃないか」と、さらりと言われ、その後、圓諦師は手元の資料を使って膨大な
 「月照」の研究書をまとめます。焼失した遺稿も、書き写してあった写しを活字にして、
「忍向遺稿」として自費で刊行しました。(吉川弘文館の「月照」はその成果の一部。)
 最近、「恕」という字が、好んで取りあげられることがあります。「怒」と似ています
が、意味は正反対。恕とは「じよ」と読んで、ゆるすとか、人の身になって考えること。
まさに、心の如く心のままの、良慶師の「恕のこころ」が、圓諦師にとってどんなに有り
難かったか。それは、生涯忘れることの出来ない思い出となったのです。
 圓諦師は、昭和48年11月16日、月照と同じ命日に亡くなりました。今年、43回忌を迎え
ます。そして今年は、良慶師33回忌の年でもあります。


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