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  第86号 平成26年(2014年)121日発行



巻頭


出でしその胎(はら)により  生れしその母によりて
我は婆羅門と謂(よ)ばず
彼もし我有(わがもの)の思いあらば
彼はただ「心の傲(おご)る者」  といわるべし
我有(わがもの)と取着(むさぼり)の思いなき
かかる人をわれは  婆羅門と謂(よ)ばん
                  (法句経 396)


◇新:法句経講義44◇
<※「新・法句経講義」は、巻頭ページ掲載の法句経について解説しています。>

 「仏教」という宗教が2000年以上前にインドで成立した時、最も革新的だったのは、
人をその生まれによって差別しないと宣言したところにあったと言われます。
人を生まれた家や職業によって差別し階級づけることは、どんな社会でも行われて
きましたが、インドではとりわけその制度が厳しく、カーストと言われるその制度は
現在でもインド社会で大きな課題になっています。
 そうした文化のなかで身分制度を否定し、人はその人の生き方によって価値が
決まるのだと説くことは、本当に大きな勇気のいることだったと思います。現在の
日本の社会においても、今だに身分差別は存在しています。特定の職業を見下し
たり、生まれた場所で人を決めつけることは本当に愚かなことです。
 最近は、自由競争社会と言いながら、競争に負けた人を見下し、新たな格差や
差別を生むような風潮があります。人は勝ち負けではなく、その生き方によって
価値が決まるのです。傲(おご)り、貪(むさぼ)りを否定し、公平で執着心のない
生き方を説いた仏教を、日本はもとより、東アジア全体の誇りとし、文化として
いきたいものです。

仏教豆知識 64

 上品

 上品と書いて「じょうぼん」と読みます。一般には「じょうひん」と読み、人や物の質を言いますが、仏教では品を「ほん」と読んで、極楽に往生する人を九つに分けるのに使います。
 上品、中品、下品の三品を、さらに上生、中生、下生の三に分け、合わせて九種、これを
九品(くほん)と言います。上品上生(じょうぼん じょうしょう)が最高位で、下品下生(げぼん げしょう)が一番下の位です。九品仏というのは、九種類の阿弥陀仏のことです。
 品には、もう一つ意味があって、経典の篇や章のことを「ほん」と言います。有名な「観音経」(かんのんぎょう)は法華経(ほけきょう)の一部で、正式には「法華経観世音菩薩普門品」と言います。



 主管所感 >

私の記憶       友松浩志


 あー、時間がない。もう、みんな出かけて行ったのに、まだ自分の荷物はバックにさえ
入っていない。荷物をバックに入れると、また入れる物が増えている。どうしよう。整理が
できない。と、いつものように焦って・・・ 目が覚めた。夢だったんだ。
 仕事に追われて、睡眠不足の毎日が続くと、夢もあまり見ないが、たまに見るとこんな
夢、というのも情けない話しだ。そもそも「夢を見る」と言うけれど、夢は「見る」ものなの
だろうか? と疑問を持った人は多いと思う。夢を見ている時は、眠っているわけだから、
目は閉じている。だから目では見ていないはずだ。それなら、いったいどこで「夢を見て」
いるのか。
 北浜邦夫氏の「ヒトはなぜ夢をみるのか」(文春新書)は、夢の疑問に答えた力作だ。
当然、答は脳の中にある。夢は脳幹の一部で発生して、脳の中の視覚野で「見て」いると
いう。夢を見ている時の脳は、半分眠ったような状態(逆説睡眠)で、それは爬虫類や鳥
でも確認されるのだという。夢は脳の中の「記憶のおしゃべり」で、しかも「記憶回路」から
遮断されていて記憶できないのだという。
 鎌倉時代に活躍した明恵(みょうえ)上人という高僧は、夜毎に見る夢を記録した。それは
 「夢記」(ゆめのき)として伝えられ、近年、精神分析学者の河合隼雄氏の「明恵 夢を生き
る」(京都松柏社)で広く知られるようになった。しかし、夢を精神分析の対象とするのは、
最近あまり流行らない。それよりも、夢は「記憶」の所産なのだと思う。
 人を人とするのは「記憶」である。両親の記憶、友人の記憶。様々な記憶が、「私」を
作っている。確かに、いずれその記憶も、歳とともに薄らいでいき、忘れていくだろう。
その時見る夢は、乳児の見るような単純な夢なのかも知れない。
 こんな詩がある。
<この道を 泣きつつ我の行きしこと 我が忘れなば 誰か知るらん>
 私の「記憶」、私の「思い出」、それは私にしか守ることはできない。

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