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  第85号 平成26年(2014年)71日発行



巻頭


善きことを作(な)す者は  ここによろこび
かしこによろこび  ふたつながらによろこぶ
おのれの  きよらなる業(ふるまい)を見て
彼はたのしみ  彼はよろこぶ
                       ( 法句経 16 )


◇新:法句経講義43◇
<※「新・法句経講義」は、巻頭ページ掲載の法句経について解説しています。>

 「善いこと」を行ない「悪いこと」は行なわない、というのが仏教の最も基本となる
教えです。「諸悪莫作・衆善奉行」(しょあくまくさ・しゅぜんぶぎょう)といい、
ありとある悪をなさず、ありとある善きことは身をもって行なう − ことが、お釈迦様
誕生以前から、多くの仏様が共通してお説きになってきた教えだと言われます。
これは「七仏通戒伺」(しちぶつ つうかいげ)として広く知られたものですが、実はこの
教えは、この法句経の183番に出てくるのです。
 仏教の最も基本となる教えが、法句経にはたくさん出てきます。今回とりあげた
「善いことをすると、その人のまわりは喜びに満ちあふれる」という教えも、
仏教の基本となる教えです。ここで言う「ここ」というのは「現世」のことで、
「かしこ」というのは「来世」のことですが、「善」がすべてに喜びを満たすという
一貫した教えが、強く訴えられている部分です。
 善とは何か、来世はあるのか、といった議論をする前に、まず善きことをしよう、
実践しようという力強さが、法句経の教えにはあります。

仏教豆知識 63

 衣帯(えたい)

 古代の官職では、位によって衣や帯の色が定められていました。衣の色を見れば、その人がどんな位の人か分かったわけです。「得体が知れない」は、「衣帯が知れない」で、
その人の位が分からない - という意味なのです。仏教僧は官職でしたから、位により
衣の色が決められていました。これは現在でも引き継がれ、宗派によって異なりますが、衣の色を見れば、その僧の位が分かる− 得体が知れるようになっているのです。



 主管所感 >

額(ひたい)の傷       友松浩志


 私の父の額には、大きな傷があった。への字の形をした傷で、晩年は皺と一緒になって
大分薄くなったが、若い頃初めて会った人は、多分ギョッとする位大きな傷だった。父の
若い頃というのは、戦争が終わったすぐの頃だから、戦場で出来た傷だろう、と思われた
に違いない。でも、父は戦争には行っていない。結核で徴兵されず、東京にいた。その傷
は、空襲で出来た傷だった。
 東京の下町・深川にあった寺は、3月10日の大空襲ですべて焼け、父たち家族は赤坂
の知人宅に避難していた。そして、また空襲にあう。下町の空襲では無事だったが、今度
はそういかず、父の眼の前で焼夷弾が作裂する。その時の様子を父は随筆に書いている。

<皇居も焼失した夜の大空襲で焼夷弾にあたり、かぶっていた鉄かぶとが割れた。指で額
をさぐると、傷口に三本の指が入った。私はとりあえず着替え用のシャツで傷口を押え、
その頃になってようやく解放された秩父宮の邸内に入り、横になっていた。「もう、あれ
だめじゃないか」「頭をやられたら、しまいだよ」そんな囁きが近くで交わされているの
が耳に入る。翌朝、家人に探し出されるまでは誰からも声をかけられなかった。その時、
私はやはり一個の死体だったのかも知れない。>

 最近、在園児の祖父という方から、一通の手紙を頂いた。何気なく開いた手紙、そこに
同封されていたコピーに、眼を奪われた。そこには、赤坂で死体同然になっていた父を、
海軍部隊に運んで下さった方の回想記が書かれていた。父の命が救われた経緯を、改めて
知ることが出来た。
 父が亡くなって十三年。その額の傷も、遠い記憶になっていた。それが、一通の手紙に
よって呼びもどされた。隠しようもない大きな傷を、額の真ん中にもって生きた人生を、
私は考えようともしなかった。もはや聞くことも出来ないそんな思い。そしてその傷が、
今どんなに懐かしいことだろう。

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